研究の方向性
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都市周辺の水環境保全という視点から、有害化学物質の動態や生態影響に関して研究を進めています。化学分析や生物を用いた試験、さらに数値計算等のツールを使って、都市域での水利用や排水処理、雨水管理に関連づけて取り組んでいます。
特に底泥と底生生物に着目し、雨天時の道路排水や屋根排水といった現状で管理が十分されていない汚染源についての評価を、淡水性の藻類やカイミジンコ、汽水域のニホンドロソコエビ、ゴカイ等を用いて行ってきています。また、水生生物保全のための環境水質の目標値の検討に資するように、重金属類の動態を水環境中の溶存有機物との相互作用の下で評価し、さらに生体移行性を調べてきています。
最終的に、どのような環境を保全し、そのために何をすべきなのか(どこまで許容できるのか)という議論が必要です。そのためには、有害物質の影響という視点だけではなく、水環境が有する様々な機能(生物生産や水資源、炭素吸収、気候調整、観光・レクリエーションなど)や管理の経済性を含めた多角的な評価が必要であると考えています。
最近の研究プロジェクト(代表、分担)
- 底生生物に対する曝露経路と生物利用性を考慮した包括的な底質リスク評価手法の構築
- 底層環境評価への環境DNA手法適用へ向けた各種起源由来DNAの分解動態解析
- 雨水排除インフラを活用した都市内に潜在する衛生害虫・害獣監視システムの構築
- 水環境中の溶存有機物による共存有害物質の生態毒性への影響の評価
- 沿岸域炭素循環に及ぼす都市排水および雨天時流出水の影響の解析
- 道路由来有害微粒子の受水域での生態毒性評価
「生態系への毒性を評価する」(都市工学科HPのプロジェクト紹介記事)
過去に携わってきた研究テーマ
- 水道水源における溶存有機物の特性評価(’98~’05)
- 光合成細菌を用いた排水からの有価物生産(’91~’01)
- 微生物生態系に着目した汚泥生成抑制型膜分離活性汚泥法(’97~’01)
- 脱リン微生物群の解明と栄養塩除去回分式活性汚泥プロセスのモデル化 (’98~’05)